皮膚科の豆知識ブログ

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2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

マイコプラズマ抗体検査はどう使う?

マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)感染症はスティーブンスジョンソン症候群の原因にもなるため、皮膚科でも重要な感染症です。 肺炎のイメージが強いですが、肺炎に至るのは3~10%で、ほとんどが感冒症状のみなのだそうです(Chest. 95(3) 639…

抗核抗体が陽性だけど症状がないとき

抗核抗体が陽性、しかし臨床症状は無いという状況に遭遇することがあります。 健常者での抗核抗体の陽性率はどれくらいなのでしょうか。 Arthritis Rheum. 40(9): 1601, 1997(PMID: 9324014) 健常人120人に対して抗核抗体の検査が行われています。 【健常…

成人スティル病でフェリチンはどれくらい有用なのか?

成人スティル病ではフェリチンが上昇することが知られていますが、どれくらい有用なのでしょうか。 フェリチンの感度・特異度について書かれた総論を紹介します。 日本内科学会雑誌 92(10): 1977, 2003 NAID: 10011933566 ・フェリチン上昇 ⇒ 感度91.9%、特…

IL-2Rは悪性リンパ腫の診断に有用なのか?

IL-2レセプター(IL-2R)は悪性リンパ腫の腫瘍マーカーとして使用されています。 しかし様々な疾患で上昇するため、どの程度有用な検査なのかは知られていないように思います。 皮膚悪性リンパ腫を疑ってスクリーニング検査を行ったときにIL-2Rが高値に出る…

TARCでアトピーの重症度がわかるか?

アトピー性皮膚炎の病勢を測る指標としてTARCがあります。 しかし測定値が100~30000 pg/mlと非常に幅があるため、目安が分かりにくいです。 数値の目安として、重症度ごとの平均値を調べた報告が参考になります。 J Dermatol 33(4): 300, 2006(PMID: 16674…

TARCが薬疹でも役に立つ

DIHSは重症薬疹の一つです。 しかし診断のためには「原因薬剤中止後の経過の遷延」や「HHV-6の再活性化」を確認する必要があり、早期に診断するのは難しい場合があります。 そこでDIHSの発症早期にTARCが役立つことが示された論文があります。 J Dermatol Sc…