拙著「誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた」の読者から、初期対応と皮膚科コンサルトのタイミングが知りたいとのご意見をいただきました。
そこで紅斑を3つに分けてそれぞれの対応について解説していきます。
前回は表面がザラザラの紅斑(表皮の病変)を解説しました。
今回は境界明瞭な表面がツルツルの紅斑(真皮の病変)についてです。
真皮の病変は蕁麻疹と中毒疹に分けて考えます。
まず蕁麻疹について見ていきましょう。
緊急性のある病態
蕁麻疹で緊急性のある病態はアナフィラキシーです。
皮膚症状に対しては抗ヒスタミン薬が有効ですが、呼吸、循環症状には効果がないので注意してください。
アナフィラキシーに対しては至急エピネフリンを使用する必要があります。
初期対応
それでは蕁麻疹の初期対応について考えていきましょう。
- 呼吸・循環器症状の確認(アナフィラキシーならエピネフリン)
- 病歴の確認
- 抗ヒスタミン薬処方
まず行うのは呼吸・循環器症状の確認です。
もしアナフィラキシーであればエピネフリンを使用します。
全身症状がなければ通常の蕁麻疹として抗ヒスタミン薬を処方します。
また同時に即時型アレルギーを疑う病歴がないかを確認してください。
即時型アレルギーの場合、ほとんどが2時間以内(薬剤は10分以内、食物は30分以内が多い)に症状が出現するされています。
(アレルギー 71(2): 120, 2022)
皮膚科コンサルトのタイミング
次に皮膚科コンサルトのタイミングについて解説していきます。
①即時型アレルギーを疑う場合
まず即時型アレルギーを疑う病歴がある場合は皮膚科にコンサルトしてください。
血液検査や皮膚テストを行う必要があります。
②抗ヒスタミン薬が効かない場合
蕁麻疹患者の約20%は抗ヒスタミン薬の効果が乏しいと言われています。
抗ヒスタミン薬の効果が乏しい場合はコンサルトしましょう。
③抗ヒスタミン薬を処方して1週間以内
また必須ではありませんが、抗ヒスタミン薬が有効であっても一度皮膚科受診を勧めるのがよいでしょう。
急性蕁麻疹はほとんどが2週間以内に治癒しますが、6か月以上続き慢性蕁麻疹に移行する症例が数%程度あります。
初診時には経過は予想できないので、皮膚科に経過観察を依頼するとよいと思います。
今回は以上になります。
次回は中毒疹について解説します。