皮膚科の豆知識ブログ

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抗ヘルペスウイルス薬の選びかた・使いかた(medicina連載まとめ)

現在、医学雑誌medicinaで皮膚科治療薬の連載を行っています。

www.derma-derma.net

 

Vol.62 No.6~9で抗ヘルペスウイルス薬編が終了したので、その簡単なまとめを記載しておきます。

 

作用機序と有効な皮膚疾患

・抗ヘルペスウイルス薬はヘルペスウイルスのDNAの合成、複製を阻害して増殖を抑制する。

・活発にウイルスが増殖している再活性化の際には、ウイルス増殖を抑制し症状を軽症化できる。

・単純ヘルペスウイルスによる単純ヘルペスと水痘・帯状疱疹ウイルスによる水痘、帯状疱疹に対して有効。

・ただし複製を停止している潜在感染中のウイルスを除去することはできない。

 

①帯状疱疹

投与法の選択

・外用薬は皮膚のウイルスに対して有効だが、神経内のウイルスには効果がない。

・ウイルスは皮膚だけでなく神経細胞内でも増殖しているため、第一選択は経口薬である。

・合併症を併発している患者や、合併症のリスクが高い患者には注射薬が推奨。

 

薬剤の選びかた

<経口薬>

・アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビルの4剤がある。

・経口薬の効果に有意な差はない。

・アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルは尿中排泄、アメナメビルは糞中排泄。

・尿中排泄の薬剤は腎機能に応じた減量が必要。アメナメビルは減量不要。

・ファムシクロビル、アメナメビルは髄液移行性が低く、髄膜炎のリスクが高い症例には不適かもしれない。

 

<注射薬>

・注射薬はアシクロビルが第一選択。

 

薬剤の使いかた

・抗ヘルペスウイルス薬は皮疹出現後できるだけ早く開始する必要があり、最も適した投与開始時期は3日以内とされている。

・皮疹の拡大が止まるまでには2~3日程度かかり、治療を開始しても数日間は症状が進行しまう。

 

②単純ヘルペス

投与法の選択

・治療の基本は経口薬。

・患者の状況に応じて3種類の投与法から選択。

①5日間内服(5日間内服)

②短期間内服(高用量を1日だけ内服)

③予防内服(予防的に毎日内服)

・短期間内服は皮疹出現前の前駆症状の間に開始。

・予防内服の適用は年に6回以上再発する性器ヘルペスのみ。

 

薬剤の選びかた

・5日間内服ではアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルの3剤を使用できる。

・3剤の効果の優劣は示されていないが、アドヒアランスの面から1日2回内服のバラシクロビルが使用しやすい。

・短期間内服ではファムシクロビル、アメナメビルの2剤を使用できる。

・2剤の効果の優劣は示されていないが、アドヒアランスの面ではアメナメビル、薬剤費の面ではファムシクロビルが優勢。

・予防内服(再発抑制療法)に使用できるのはバラシクロビルのみ。