皮膚科の豆知識ブログ

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魚摂取後のアレルギーは魚アレルギーなのか?

 魚を食べた後に蕁麻疹が出現する患者さんがいます。

これは魚アレルギーと思われがちですが、原因は他にも2つ考える必要があります。

 

魚を食べた後の蕁麻疹の原因

1. 魚アレルギー
2. アニサキスアレルギー
3. アレルギー様の食中毒(ヒスタミン)

 

魚摂取後の蕁麻疹の患者の中から、魚のIgEが陰性だった患者のアニサキスIgEを調べた報告があります。

日本皮膚科学会雑誌127(3): 447, 2017

アニサキスIgE陽性率:60%

 

やはり魚自体のアレルギー以外にも、アニサキスアレルギーの可能性を考えたほうがよさそうです。

加熱して死滅したアニサキスに対しても、アレルギーが起こる可能性があり注意が必要です。

 

また魚が傷むときに作り出されたヒスタミンがアレルギー症状を起こすこともあり、ヒスタミンによる食中毒と表現されています。

こちらはIgEは陽性にはならないため、診断の確定は難しいですがアレルギーではない可能性も考慮しておくことが大切になります。