皮膚科の手術は全身を対象にするので多岐にわたります。
そのためどんな手術があって、どんな手術法を習得しなければならないのか分かりにくい部分があります。
そこで自治医科大学皮膚科では、どのレベルの手術までを行えるかの客観的な指標として、皮膚外科手術ランキングが作られているそうです。
今回はこのランキングを紹介します。
ランキングはHからAまでの8段階に分けられています。
Hランク:皮膚腫瘍切除、植皮
Gランク:局所皮弁②(Limberg flap, V-Y flap)
Fランク:局所皮弁①(bi-lobed flap)、男性外陰部手術
Eランク:鼠経リンパ節郭清
Dランク:顔面特殊部位の再建(眼瞼, 口唇, 鼻)
Cランク:腋窩リンパ節郭清、女性外陰部手術、肛門部手術
Bランク:骨盤内リンパ節郭清
Aランク:頸部リンパ節郭清
Hランク
皮膚腫瘍切除、植皮
皮膚科手術では腫瘍切除後に皮膚欠損部の再建が必要です。
基本は単純縫縮ですが、無理な場合は植皮や皮弁で再建を行います。
Hランクは単純縫縮と植皮術です。
整容面を考えなければ、皮弁での再建が必須な状況は限られます。
Hランクをマスターできれば、一般診療で困ることはあまりないでしょう。
Gランク
局所皮弁②(Limberg flap, V-Y flap)
GランクはLimberg flapやV-Y flapなどの比較的簡単な局所皮弁です。
これらの皮弁術をマスターすれば手術の幅が少し広がります。
Fランク
局所皮弁①(bi-lobed flap)、男性外陰部手術
Fランクはbi-lobed flapなどの少し難しい局所皮弁です。
また乳房外パジェット病などで行う、陰嚢・陰茎部の広範な切除も含まれます。
皮膚外科が専門でなければ、このランクへの到達を目標にしたいところです。
Eランク
鼠経リンパ節郭清
Eランクは皮膚科で最もよく行われる鼠径リンパ節郭清です。
平面的な構造をしているので、他の部分の郭清と比較して難易度が低いと考えられています。
Dランク
顔面特殊部位の再建(眼瞼, 口唇, 鼻)
Dランクは眼瞼、外鼻、口唇、耳介などの再建手術です。
2 つ以上の皮弁を組み合わせる必要がある場合や、皮弁切り離しを伴う 2 期的な手術、粘膜や軟骨などの再建も要する手術が想定されています。
このあたりになってくると専門性が高くなってきます。
C~Aランク
腋窩、骨盤内、頸部リンパ節郭清、女性外陰部手術、肛門部手術
Cランク以降は主に鼠径部以外のリンパ節郭清です。また歯状線を超える肛門部手術や、子宮口近くまで及ぶ女性外陰部手術も含まれています。
Cランク以上になってくると、他科に手術を依頼するケースもありそうです。
まとめ
今回は皮膚外科手術の難易度ランキングを紹介しました。
みなさんの現在のランクはどれくらいしょうか。
どのランクを目標にするのかを考えながらトレーニングを積んでいくとよいかもしれません。