蜂窩織炎の診断は基本的に臨床症状から行われます。
それでは検査はどれくらい有用なのでしょうか。
血液検査
まず血液検査について見てみましょう。
白血球、CRPは感染症の指標として広く使用されていて、初診時のスクリーニングとしてルーチンで行われています。
蜂窩織炎の総説にこれらの検査の陽性率が示されています。
JAMA. 316(3): 325, 2016 PMID: 27434444
・白血球上昇:34~50%
・CRP上昇:77~97%
このように白血球やCRPが上昇しない場合もあり、検査値が正常であったとしても蜂窩織炎を否定することはできません。
培養検査
次に細菌感染症診断のゴールドスタンダードと言われる培養検査について見てみましょう。
J Infect. 64(2): 148, 2012 PMID: 22101078
蜂窩織炎の血液培養に関する19の文献(血液培養1578件)のシステマティックレビューです。
・血液培養陽性率 :7.9%
このように蜂窩織炎で血液培養が陽性になることは少なく、免疫不全のない健常者では菌血症を合併する可能性はかなり低いようです。
次に組織培養の陽性率を見てみましょう。
Epidemiol Infect. 138(3): 313, 2010 PMID: 19646308
蜂窩織炎の生検組織培養に関する16の文献(組織培養808件)のシステマティックレビューです。
・皮下組織培養陽性率: 16%
(針生検:0~40%、皮膚生検:18~26%)
細菌は皮下組織に存在しているため、痰や尿と違って検体を採取するのは容易ではありません。
そのため皮下組織培養の陽性率は16%と低いようです。
また陽性率が低い理由として、蜂窩織炎では炎症反応の強さに比して局所の細菌密度が低いことも考えられています。
まとめ
以上のように蜂窩織炎を検査で診断するのは難しいようです。
そのため非特異的な臨床所見のみから診断するしかなく、蜂窩織炎を誤診してしまう場合もあるようです。
次回の記事では蜂窩織炎を誤診しないためのポイントを紹介します。