高齢者に多い水疱性類天疱瘡(類天疱瘡)は、高齢化に伴い増加しています。
高齢者施設では、入所者の1%に類天疱瘡がみられるという報告もあります(MB derma: 161 p39-45, 2010.)。
診断基準を満たすためには皮膚生検が必要なのですが、皮膚科受診が難しい場合もあるでしょう。
そんなときは血液検査で診断できれば便利です。
そこで類天疱瘡を診断するための血液検査として抗BP180抗体があります。
それでは抗BP180抗体でどれくらい類天疱瘡を診断できるのでしょうか。
検査の感度と特異度を調べた報告があります。
J Dermatol Sci 41: 21, 2006(PMID: 16364599)
94人の類天疱瘡患者血清と、336人の健常人血清に対して、抗BP180抗体の検査(ELISA法)が行われました。
・感度:69.9%
・特異度:98.8%
(陽性尤度比:58、陰性尤度比:0.3)
特異度はなかなか高く、陽性であれば類天疱瘡と考えてよさそうです。
ところが感度があまり高くないことに注意が必要です。
抗BP180抗体が陰性であっても類天疱瘡を否定することはできません。
さらに最近増えているのは薬剤性の類天疱瘡です。
糖尿病の治療薬であるDPP4阻害薬は類天疱瘡を引き起こします。
薬剤性類天疱瘡では抗BP180抗体の陽性率は低いようです。
Br J Dermatol. 178(6): 1462, 2018(PMID: 29478242)
【DPP-4阻害薬内服中に発症した類天疱瘡】
抗BP180抗体の陽性率:58%
抗BP180抗体の検査を行う際には偽陰性に注意が必要です。