蕁麻疹の治療の基本は抗ヒスタミン薬です。
ほとんどの症例は抗ヒスタミン薬でコントロールすることができます。
ところが一部、薬の効果が乏しい患者も存在します。
そんなときステロイドの全身投与が行われることがありますが、その効果はどれくらいあるのでしょうか。
論文を見てみましょう。
短期的効果
まず短期的な効果を見た論文です。
Medical Forum Monthly, 25(6): 50, 2014
急性蕁麻疹患者60人に対して、①20人に抗ヒスタミン薬、②20人にステロイド(デキサメタゾン4mg)、③20人に抗ヒスタミン薬+ステロイド(デキサメタゾン4mg)の静脈注射が行われました。
そして治療3時間後の症状改善率が調査されています。
【症状改善率(静脈投与3時間後)】
・抗ヒスタミン薬のみ:70%
・ステロイドのみ:40%
・抗ヒスタミン薬+ステロイド:90%
このようにステロイドは単独では効果は低いですが、抗ヒスタミン薬と併用することで症状をより抑制できるようです。
抗ヒスタミン薬の効果が乏しい場合はステロイドを併用してもよいでしょう。
長期的効果
ただし数日単位で見るとステロイドの有効性はないという報告もあります。
Ann Emerg Med. 71(1): 125, 2018 PMID: 28476259
急性蕁麻疹患者に対して、50人にザイザル5mg、50人にザイザル5mg+プレドニン40mgが投与されました。
そして治療開始2日後の皮疹の改善率が調査されています。
【皮疹改善率(治療開始2日後)】
・抗ヒスタミン薬のみ:78%
・抗ヒスタミン薬+ステロイド:70%
difference: -8%(95%CI:-25% to 9%)
このように長期的にはステロイドの有効性のエビデンスは乏しいようです。
あくまでも一時しのぎ的に使用するのが望ましいでしょう。
またステロイドは「一時的に症状を改善するがリバウンドを起こす」ので使うべきではないという意見もあります。
蕁麻疹だったらステロイドは入れるべきでないと思います。一時的によくなってもすぐにぶり返すからです。近医でステロイドを入れた患者さんの対応にはずいぶん苦労しました。
visual dermatology 18増刊: 94, 2019
難しいところですが、安易には使用しないほうがいいのかもしれません。