蕁麻疹の診療で最も多く遭遇するのが「原因は何ですか?」という質問です。
世間一般では蕁麻疹はすべてアレルギーによって起こると思われています。
そのためアレルギー検査を希望されることも多いです。
それではアレルギーによる蕁麻疹の割合はどれくらいなのでしょうか。
論文を見てみましょう。
アレルギー 55(2): 134, 2006 NAID: 110004665194
広島大学病院を受診した蕁麻疹患者260人の病型が調査されています。
・原因不明(特発性):73%
・刺激誘発性:23%
・その他:4%
このようにはっきりと誘因が分かる蕁麻疹は2割程度で、70%以上が原因不明の特発性です。
この中でアレルギー性はどらくらいあるのでしょうか。
刺激誘発性の内訳
・物理:16.5%
(機械7%、コリン7%、寒冷2%、日光0.5%)
・外来物質:6.5%
(アレルギー5.5%、その他1%)
アレルギー性の割合は5%程度です。
患者自身が気づいていない抗原によるⅠ型アレルギーの症例を見逃してはいけません。
ですが病歴から明らかな誘発因子が認められない場合は、網羅的なアレルギー検査を行う意義は乏しいと考えられます。
蕁麻疹は感染、ストレス、疲労などにより悪化することが多く、患者の46%が発症前に何らかの感染症状を示したという報告があります。
J Dermatol. 21(2): 73, 1994 PMID: 8182214
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原因不明の症例は、これらが間接的なマスト細胞活性化因子になっているのかもしれません。
したがって原因を追究することよりも、内服を継続して行うことが大事ということを十分に説明する必要があるでしょう。