前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。
今回は第3章の内容になります。
【問題】
以下の24時間以上持続する紅斑をみたとき、まず確認するのは何でしょう。
(108-A51)
国試問題文(抜粋)
60歳の男性.発熱と全身の皮疹を主訴に来院した.15日前に山へ山菜採りに行った.5日前から発熱があり,3日前から全身に皮疹が出現していた.体温39.5℃.右下腿には黒褐色の痂皮が付着した紅斑を認める.
【解説】
答え:薬歴
表面の変化がなく境界明瞭な紅斑なので、病変は真皮にあるようです。
この場合は蕁麻疹と中毒疹を考えます。
蕁麻疹と中毒疹の鑑別点は皮疹の持続時間です。
24時間以上持続する場合は中毒疹と診断します。
中毒疹は薬疹、感染症、膠原病の可能性がありますが見た目では鑑別できません。
そこでまず薬歴に注目します。
この症例は内服薬剤はなく、感染症と膠原病に絞られます。
その場合の診断は非常に困難です。
感染症ではウイルス(麻疹、風疹、伝染性単核球症など)、リケッチア(ツツガムシ病、日本紅斑熱)、スピロヘータ(梅毒)などを考える必要があります。
また膠原病では成人スティル病、SLE、皮膚筋炎、水疱性類天疱瘡の初期などの鑑別が必要です。
診断がつかないことも多々あります。
この症例は野山に行ったという行動歴から刺し口を見つけてツツガムシ病と診断されたようですが、診断はなかなか難しいと思います。
つづく