粉瘤の術後再発症例に出会うことがあります。
手術中に嚢腫壁を取り残すと再発することが多い印象がありますが、再発率はどのくらいなのでしょうか。
論文を見てみましょう。
Dermatol Surg. 28(8): 673, 2002 PMID: 12174056
くり抜き法で切除を行った粉瘤825例の後方研究です。
これらの患者にアンケート用紙を郵送し、再発率が調査されました。
再発症例:45例(5.5%)
再発までの期間(平均):19.8カ月
結果は5.5%ですが、アンケートに返信しなかった患者もいるため、再発率は5~10%程度と推測されています。
Patients should be warned of the 5–10% risk of cyst recurrence in addition to possibilities of infection and scarring as part of the informed consent process.
別の論文も見てみましょう。
Dermatol Surg. 32(4): 520, 2006 PMID: 16681659
こちらは粉瘤60例の前方研究です。
切開法(29例)とくり抜き法(31例)で手術を行った後、1~2年間の経過観察を行い、それぞれの再発率が調べられています。
再発率
・切開法:0%
・くり抜き法:3%
観察期間が短い可能性はありますが、こちらの論文では再発率はかなり低く、特に切開法では再発例はなかったようです。
また大きさで分けた場合は2㎝以下では再発はなく、小さな粉瘤の再発率は低いと考えてよさそうです。
再発率
<2cm未満>
・切開法:0%
・くり抜き法:0%
<2cm以上>
・切開法:0%
・くり抜き法:20 %
このように論文によって再発率は異なっており、はっきりしません。
おそらく手術の手技や腫瘍の大きさによって大きく左右されるのでしょう。