オイラックスという外用薬があります。
この薬剤にはどのような効果があるのでしょうか。
オイラックスの成分であるクロタミトンは、1940年代に疥癬に対する殺虫剤として開発されました。
しかしその後に痒みに対する効果が分かり、鎮痒性外用薬としても使用されるようになったようです。
つまり以下の2つの作用があるということです。
- 殺虫効果
- 鎮痒効果
今回は殺虫効果について見てみます。
保険適用
まずオイラックスには疥癬に対する保険適用はありません。
オイラックスの適用疾患
湿疹、蕁麻疹、神経皮膚炎、皮膚そう痒症、小児ストロフルス
しかし社会保険診療報酬支払基金より「クロタミトンを疥癬に処方した場合、当該使用事例を審査上認める」との通知が出されており、使用することが可能です。
使用方法
使用方法は統一されていませんが、疥癬のガイドラインには以下のように記載されています。
全身に塗布後、24 時間で洗い流し、5 日間繰り返せばよいとされているが、実際には 10~14 日間程度の塗布が必要である
また論文を見てみると、3週間使用している場合もあるようです。
皮膚臨床 27(6): 599, 1985 NAID: 10010831144
とはいえ全身への外用を2~3週間継続するのはかなり大変ですね。
治療効果
次に治療効果はどうでしょうか。
先ほどの論文によると、3週間使用後の治癒率は61.6%と高くはありません。
現在はイベルメクチンやフェノトリンなどのもっと効果が高い薬剤が使用できるため、クロタミトンが第一選択になることはありません。
疥癬治療に関するネットワークメタ解析では、「プラセボより勝るがイベルメクチンには劣る」という位置づけになっています。
J Am Acad Dermatol. 80(5): 1435, 2019 PMID: 30654070
surface under the cumulative ranking curve(Cure at 1-2 weeks)
・イベルメクチン内服:61.3
・クロタミトン外用:24.2
・プラセボ:0.2
また疥癬のガイドラインでは推奨度C1(行うことを考慮してよいが、十分な根拠がない)となっています。
そのため補助的に使用されている(イベルメクチン内服との併用)のが現状です。
次回は痒みに対する効果について見てみます。