NSAIDs外用薬には2種類あります。
- 皮膚疾患用(皮膚炎)
- 整形外科疾患用(関節痛、筋肉痛)
今回は湿疹・皮膚炎に使用する皮膚疾患用NSAIDs外用薬について見てみます。
NSAIDs外用薬の位置づけ
ステロイド外用薬には免疫抑制や皮膚萎縮などの副作用があります。
一方、NSAIDs外用薬にはそれらの副作用がなく、かつては「長期的に使用しやすい薬剤」と言われていたようです。
そのため小児の湿疹やアトピー性皮膚炎の皮疹に対して積極的に使用されていました。
しかし現在は皮膚炎に対する使用は推奨されていません。
それではどのような問題点があるのでしょうか。
論文を見てみます。
NSAIDs外用薬の問題点
NSAIDs外用薬の問題点は感作性です。
積極的に使用されていた時期(2000年)の論文では、NSAIDs外用薬のパッチテストを行うとアトピー患者の16%が陽性だったと報告されています。
皮膚 42(増刊22): 49, 2000
つまり繰り返し使用すると感作され、接触皮膚炎を起こす可能性があるということです。
NSAIDs外用薬の接触皮膚炎症例のまとめを見てみます。
Environ Dermatol 6(4): 216, 1999
接触皮膚炎症例の55例の内訳
・ブフェキサマク(アンダーム):49%
・イブプロフェンピコノール(ベシカム、スタデルム):33%
・ウフェナマート(コンベック):11%
・スブロフェン(トパルジック):5%
・ベンダザック(ジルダザック):2%
このようにブフェキサマクは接触皮膚炎が多く(使用頻度が多いからかもしれませんが)、症状が重篤であることから2010年にヨーロッパで発売中止勧告が出されました。
そのため日本でも発売中止になっています。
このことからNSAIDs外用薬に対するネガティブなイメージが広がり、使用頻度は激減したようです。
ただブフェキサマク以外の製剤も接触皮膚炎のリスクが高いかは分かりません。
ウフェナマートは感作性が低いという話もあるようです。
ウフェナマート製剤は接触皮膚炎の報告症例も少なく、感作性の低い物質と考えられる。
とはいえ接触皮膚炎のリスクはゼロではありません。
また効果に対するエビデンスも乏しいことから、積極的に使用するメリットは低いかもしれません。