皮膚科専門医の勉強ブログ

日々の勉強の記録

TARCでアトピーの重症度がわかるか?

アトピー性皮膚炎の病勢を測る指標としてTARCがあります。

しかし測定値が100~30000 pg/mlと非常に幅があるため、目安が分かりにくいです。

数値の目安として、重症度ごとの平均値を調べた報告が参考になります。

J Dermatol 33(4): 300, 2006(PMID: 16674799)

【TARCの平均値(pg/ml)】

・健常人:270
・軽症:1520
・中等症:2600
・重症:8010

 

どうやら2000、5000くらいが重症度の基準になるようです。

ただしカットオフ値は設定されていないため、どちらかというと治療の効果を判定するために使うのが適切な使い方なのでしょう。

 

治療の指標としてはTARC 500 pg/ml以下という数値が示されています(日本皮膚科学会雑誌122(13), 3526)。

かなり厳しめの目標値(タイトコントロール)ですが、参考になります。

抗BP180抗体の陽性率はどれくらい?

高齢者に多い水疱性類天疱瘡(類天疱瘡)は、高齢化に伴い増加しています。

高齢者施設では、入所者の1%に類天疱瘡がみられるという報告もあります(MB derma: 161 p39-45, 2010.)。

 

診断基準では皮膚生検が必要なのですが、皮膚科受診が難しい場合もあり、そんなときは血液検査で診断できれば便利です。

そこで類天疱瘡を診断するための血液検査として抗BP180抗体があります。

 

それでは抗BP180抗体でどれくらい類天疱瘡を診断できるのでしょうか。

検査の感度と特異度を調べた報告があります。

J Dermatol Sci 41: 21, 2006(PMID: 16364599)

・感度:69.9%
・特異度:98.8%

 

特異度はなかなか高く陽性であれば診断確定してよさそうです。ところが感度があまり高くないことに注意が必要です。

抗BP180抗体が陰性であっても類天疱瘡を否定することはできません。

 

さらに最近増えているのは薬剤性の類天疱瘡です。

糖尿病の治療薬であるDPP4阻害薬は類天疱瘡を引き起こします。

薬剤性類天疱瘡では抗BP180抗体の陽性率は低いようです。

Br J Dermatol. 178(6): 1462, 2018(PMID: 29478242)

【DPP-4阻害薬内服中に発症した類天疱瘡】

抗BP180抗体の陽性率:58%

 

このように抗BP180抗体には注意が必要です。

ペニシリンアレルギーにセフェムは投与できるのか?

ペニシリンアレルギーを持つ患者がいます。

その患者にセフェム系の抗菌薬を投与することは可能なのでしょうか。

これを調べた報告があります。

J Allergy Clin Immunol Pract. 6(5): 1662, 2018(PMID: 29408440)

 

ペニシリンアレルギーと診断されている272人の患者に対して、複数のセフェム系抗菌薬のアレルギー検査が行われました。

抗菌薬を、①ペニシリンと側鎖が同じor類似のものと、②側鎖が異なるものに分類して検査陽性率をみてみましょう。

【アレルギー検査陽性率】

・側鎖が同じor類似のセフェム:37.7%

・側鎖が異なるセフェム:1.6%

 

側鎖が同じセフェム系では比較的高い頻度で交差耐性を持つようです。

しかし側鎖が異なれば交差耐性はほどんどないようで、ペニシリンアレルギーでも側鎖の異なるセフェム系は使用できそうです。

 

ペニシリンと側鎖が同じ薬剤はセファレキシン(ケフレックス)とセファクロル(ケフラール)の2種類です。

意外ですが同じ第一世代に分類されるセファゾリン(セファメジン)は側鎖が異なっていて使用が可能です。