皮膚科専門医の勉強ブログ

日々の勉強の記録

成人スティル病でフェリチンはどれくらい有用なのか?

成人スティル病ではフェリチンが上昇することが知られていますが、どれくらい有用なのでしょうか。

フェリチンの感度・特異度について書かれた総論を紹介します。

日本内科学会雑誌 92(10): 1977, 2003

・フェリチン高値 ⇒ 感度91.9%、特異度47.0%

 

フェリチンは様々な疾患で上昇するため、特異度は45.8%とあまり役に立たなさそうです。

 

もう少しフェリチンが高ければどうでしょうか。

・フェリチン5倍以上に上昇 ⇒ 感度74.8%、特異度83.2%

・フェリチン10倍以上に上昇 ⇒ 感度58.8%、特異度88.5%

 

この結果から、正常上限の5倍以上が診断の参考項目、10倍以上は診断価値が高いとされています。

SRLのホームページによるとフェリチンの正常上限値は男性340ng/mL、女性114ng/mLです。

・5倍以上⇒男性1700ng/mL以上、女性570ng/mL以上

・10倍以上⇒男性3400ng/mL以上、女性1140ng/mL以上

 

ただしフェリチンの数値が上がると特異度は上昇しますが、それでも80~90%程度です。

フェリチンのみでの確定診断、除外診断は難しそうです。

成人スティル病の診断ではフェリチン以外の臨床症状を正確に把握することが先決です。

IL-2Rは悪性リンパ腫の診断に有用なのか?

IL-2レセプター(IL-2R)は悪性リンパ腫の腫瘍マーカーとして使用されています。

しかし様々な疾患で上昇するため、どの程度有用な検査なのかは知られていないように思います。

皮膚悪性リンパ腫を疑ってスクリーニング検査を行ったときにIL-2Rが高値に出ることがありますが、判断に迷うことが多いです。

そこでIL-2Rの感度・特異度を調べた報告を紹介します。

Kawasaki Medical Journal 37(1): 19, 2011

・500以上⇒感度83%、特異度25%
・1000以上⇒感度59%、特異度59%
・2000以上⇒感度40%、特異度84%
・5000以上⇒感度23%、特異度97%

 

このデータからは、2000を超えなければ診断価値は低そうです。

また高値であれば診断確度は高まりますが、非血液疾患でも非常に高くなる症例(劇症肝炎で18100 U/mLなど)が存在し、確定診断は難しようです。

やはり診断には生検が必要で、IL-2Rはあくまでそれを補助するものでしかありません。

TARCでアトピーの重症度がわかるか?

アトピー性皮膚炎の病勢を測る指標としてTARCがあります。

しかし測定値が100~30000 pg/mlと非常に幅があるため、目安が分かりにくいです。

数値の目安として、重症度ごとの平均値を調べた報告が参考になります。

J Dermatol 33(4): 300, 2006(PMID: 16674799)

【TARCの平均値(pg/ml)】

・健常人:270
・軽症:1520
・中等症:2600
・重症:8010

 

どうやら2000、5000くらいが重症度の基準になるようです。

ただしカットオフ値は設定されていないため、どちらかというと治療の効果を判定するために使うのが適切な使い方なのでしょう。

 

治療の指標としてはTARC 500 pg/ml以下という数値が示されています(日本皮膚科学会雑誌122(13), 3526)。

かなり厳しめの目標値(タイトコントロール)ですが、参考になります。