水いぼ(伝染性軟属腫)治療の第一選択は摘除です。 それでは摘除にはどれくらいの効果があるのでしょうか。 軟属腫摘除に関する1879人の後方研究を見てみましょう。 Pediatr Dermatol. 33(6): 640, 2016 PMID: 27601304 ・1回で治癒(再発なし):70%・2回…
水いぼ(伝染性軟属腫)に対しては摘除が有効ですが、痛みや出血を伴うのが欠点です。 子供に多い疾患なので苦労します。 他に痛くない治療法はないのでしょうか。 皮膚科医へのアンケートによると、摘除以外にも様々な治療が行われているようです。 日本臨…
伝染性単核球症の皮疹はアンピシリン疹が有名です。 かつてはペニシリン系抗菌薬の投与で100%近く皮疹が出るとされていました。 しかし現在ではもっと頻度は低いと言われています。 実際の頻度がどれくらいなのか、伝染性単核球症の後方研究を見てみましょう…
ときどき伝染性単核球症を疑う症例に出会うことがあります。 しかしEBウイルス抗体が既感染パターンで、診断に苦慮することも多い印象です。 実は伝染性単核球症の原因はEBウイルスだけではありません。 それではどのようなウイルスが原因になるのでしょうか…
Paraviral Eruptionと呼ばれる、様々なウイルス感染で生じる皮膚疾患があります。 Dermatology 211: 309, 2005 【Paraviral Eruption】 1. ジアノッティ症候群2. ジベルばら色粃糠疹3. gloves and socks症候群4. asymmetric periflexural exanthem5. eruptiv…
ジアノッティ症候群は様々なウイルスが原因で起こります。 そのため確定診断ができる検査がなく、患者への説明が中途半端になりがちです。 また治療法がなく、治癒までに時間もかかることも問題です。 そこで海外から報告されている診断基準が役に立ちます。…
成人のパルボウイルス感染症に出会うことは意外と多いです。 そのほとんどが「あるかないか分からないくらいの皮疹と手足の腫れ、倦怠感」という症状。 臨床症状がパッとしないため、診断が難しい疾患です。 リウマチ因子や抗核抗体が陽性化することも、診断…
ウイルス感染症を疑う場合、抗体検査をオーダーします。 そして以下のいずれかがあれば感染を証明することができます。 IgM抗体陽性 ペア血清で抗体値の有意な上昇 しかし結果を見て悩んでしまうことも多いのが実状です。 今回はIgM抗体について考えてみます…
ウイルス感染症を疑う場合、抗体検査をオーダーします。 そして以下のいずれかがあれば感染を証明することができます。 IgM抗体陽性 ペア血清で抗体値の有意な上昇 しかし結果を見て悩んでしまうことも多いのが実状です。 今回はIgGについて考えてみます。 I…
内臓や血液の真菌感染症(深在性真菌症)はカンジダやアスペルギルスが多いと言われています。 それでは皮膚真菌症の原因菌は何が多いのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Med Mycol J. 60(3): 75, 2019 PMID: 31474694 皮膚科を受診した皮膚真菌症患者67…
皮膚真菌症は見た目だけで診断できるのでしょうか。 それを調べた報告があります。 Fam Pract. 16(6): 611, 1999 PMID: 10625138 皮膚科クリニックを受診した紅斑を有する患者148人に対して臨床診断を行った後に、真菌培養が行われました。 視診による皮膚真…
皮膚真菌症診療ガイドライン2019によると、人口の約20%程度(2500万人)が足白癬に罹患しているそうです。 しかし足白癬はある程度まで菌が増殖しないと、痒みなどの自覚症状が出てきません。 それでは足白癬と気がつかずに放置している患者はどれくらいいる…
白癬菌はどこにいて、どうやって感染するかを聞かれることも多いと思います。 皮膚に付着した白癬菌は、一定の湿度(85%以上)があれば24時間かけて皮膚内に侵入し、感染が成立します。 水虫が足の指の間にできやすいのは、湿度が高いことが理由です。 それ…
白癬にはどれくらいの治療期間が必要なのでしょうか。 ゼフナートクリームの臨床試験の論文を紹介します。 体部白癬患者61人と足白癬患者137人がゼフナートクリーム外用(1日1回)で治療されました。 西日本皮膚科 55(4):759, 1993 NAID: 130004830924 【症…
足白癬に対して保険適応がある内服抗真菌薬には、テルビナフィン(ラミシール)とイトラコナゾール(イトリゾール)の2種類があります。 テルビナフィン(ラミシール) イトラコナゾール(イトリゾール) どちらを選択すればよいのでしょうか。 まず両者の効…
小児の皮膚真菌症に対して内服抗真菌薬が必要になることがあります。 それは頭部白癬の治療のときです。 ところが投与量は日本のガイドラインには記載がなく、論文を参考に決める必要があります。 ある論文(臨床皮膚科. 64(13): 1060, 2010)ではテルビナフ…
抗真菌薬内服が必要な白癬は爪白癬が代表的です。 真菌は爪の下にいますが、外用薬が爪を通過できないからです。 しかし内服薬は、その他の白癬にも適応があります。 ガイドラインから内服薬の適応をみてみましょう。 皮膚真菌症診療ガイドライン 2019 【内…
爪白癬では爪の変形が起こります。 ただし爪の変形が必ずしも爪白癬とは限らないことに注意が必要です。 それでは爪白癬の割合はどれくらいなのでしょうか。 皮膚科クリニック受診者の爪を観察した報告を見てみましょう。 Int J Dermatol. 36(10): 783, 1997…
これまで爪白癬には外用薬が効かないので、内服薬を使用する必要がありました。 ところが最近爪白癬に効果がある外用薬が発売され、内服薬を使用しないケースが増えています。 それでは外用薬の効果はいったいどれくらいなのでしょうか。 臨床試験の結果を見…
前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を紹介しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変 ・表面がツルツル:真皮の病変 …
前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真…
前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真…
前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真…
前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (まだ見ていない方は第1回から御覧ください>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿…
前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 前回、紅斑のみかたの原則を解説しました。 ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真皮の病変(薬疹) しかし原則には例外がありま…
今回は医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について解説したいと思います。 医師国家試験皮膚科領域の解説 国試の皮膚科の分野では症例写真が数多く出てきますが、写真から診断することは難しいのではないでしょうか。 過去問の写真を丸…
最近梅毒の検査法が変わっています(用手法→自動化法)。 それに伴っていくつかの変化があり、教科書の記載内容が古くなっています。 そのため知識をアップデートしておく必要があります。 まず治療効果判定が「RPR 1/4以下」から「RPR半分以下」に変更され…
私たち皮膚科医を最も怯えさせる疾患が疥癬です。 一見して湿疹や痒疹と見分けがつきづらい。 よくよく手や陰部を観察すれば、疥癬トンネルや疥癬結節が見つかりますが、注意していないと見逃してしまいます。 疥癬は忘れた頃にやってくる。 常に頭の片隅に…
マダニ刺症の対応法は人によって微妙に異なっています。 そこで虫の大家・夏秋優先生の「マダニ刺症への対応提言」をまとめてみました。 Visual dermatology 17(11): 1064, 2018 皮膚に吸着したマダニは除去する必要があります。 それでは除去はいつすればよ…
最近ピレスロイド(スミスリン)耐性のシラミが増加しているそうです。 スミスリンシャンプーが効かないときどうすればいいのか、海外のガイドラインを調べてみました。 まずカナダ小児科学会で推奨されているのは2つの薬剤です。 Paediatr Child Health. 23…